JEM規格とは
昨年一番読まれた記事マグネットスイッチについてや寸法検査について、そして前回の塗装色検査についてとJEM規格ってよく出てくるけど、なんのこと?
JEM規格とは
JEM規格とは日本電機工業会(通称:JEMA)が作成した規格のことを指します。
日本電機工業会は、発電用、送変配電用、公共施設用、産業設備用などに係る大型の機械設備、また家庭用の電化製品全般など(詳細は別掲を参照のこと)を基準として『取扱製品基準表 』に定めています。
JEM規格では、その表に係る電気機器の「設計」「製造」「試験」及び「使用事項」について標準を定めています。
規格を定めるとどうなるの?
規格を定める=標準化する(判断の基準を作る)ということで、製品を標準化することによって次のような良い事があります。
標準化のメリット
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- 互換性の確保
- 国内外で機械部品及び構成する部品などを置き換えても、同様に動作させることができる
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- 生産効率の向上
- 標準化された部品は比較的安価かつ大量生産が可能なため、量産化と単純化からコスト削減にもつながる
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- 品質の確保
- 品質マネジメントシステム規格(ISO9001)や強制法規の技術基準を満たすように意識することで、品質確保にもつながる
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- 相互理解の促進
- 用語や記号、計量単位、設計法、試験評価方法、生産方式などを標準化することで関連することがらの無秩序化、複雑化するのを防ぎます
- 研究・開発による技術の普及
- 安心、安全の確保
- 環境保護
- 貿易の促進
などがあります。
日本電機工業会(JEMA)とは
電機メーカーの交流団体「八日会」を製品の改良や技術の標準化を目的とする組織へ昭和11 (1936) 年に改組したことに始まるメーカー団体(工業会)です。
主な事業活動として、
- 電機産業の持続的発展のため の施策立案・推進
- 政府行政の諸施策への意見発信・政策提言
- 製品安全啓発の推進
- 統計・市場調査業務の推進
- 広報活動
- 国レベルの技術研究開発への協力・支援
- 3E+S (「安定供給」「経済性」「環境適合性」+「安全性」) を基本としたエネルギー供給と利用の高度化推進
- 地球環境保全への対応
- 人材の育成・確保
- IIFES (Innovative Industry Fair for E x E Solutions, アイアイフェス) の開催
- 海外事業展開への支援
- 通商課題への取組み
- 国際交流の促進
- 国際標準化・適合性評価活動の推進
といったものがあり、今回のJEM規格に関わる内容としては最後の国際標準化・適合性評価活動の推進という項目が当てはまります。
その内容は、
- 日本電機工業会規格 (JEM規格) を制定・運用する
- 日本工業規格 (JIS) や他団体規格、国際標準である国際電気標準会議 (IEC) や国際標準化機構 (ISO) の審議・制定に参画し、電気機器の品質や技術の向上に貢献する
- 国際規格の国際標準化機構 (ISO) 等に、日本の規格を考慮してもらう活動
- 製品認証制度、システム認証制度、マネジメントシステム審査登録制度、試験所認定制度等、国際的に調和のとれた適合性評価システムの構築と定着を推進
といったものです。
実際にJEM規格が使用されている場面
その1 色彩
例えば、前回の塗装色検査についてでもご紹介しましたが、JEM 1135(配電盤・制御盤及びその取付器具の色彩)によって、制御盤のパーツごとの色も細かく定められています。
| 対象 | 色彩 | ||
|---|---|---|---|
| 盤 | 盤本体 附属構造体 収納機器の金属露出部 |
5Y7/1 | |
| 盤表面取付器具など | 計器、継電器などの盤表面に露出する器具のふち枠 | N1.5 | |
| 開閉器、操作器などの操作部 | 一般用 | ||
| 非常停止用 | 赤 | ||
| 銘板 | 材質が金属の場合 | 地色: 銀白 文字: 黒 | |
| 材質が合成樹脂の場合 | 地色: 白 文字: 黒 | ||
| 模擬母線 | JEM1136による | ||
その2 銘板
みなさんも一度は見たことがある銘板※1。こちらもサイズや材質、取り付け方法など、JEM 1172(配電盤・制御盤取付銘板)により細かく定められています。
※1 名称銘板…盤に取り付け、盤の用途、機能などを表したもの
用途銘板…盤に取り付けた周辺の器具に取り付け、その器具の用途、機能を表したもの
| A | B | C | D | d | E | F | t | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 樹脂 | 金属 | |||||||
| 63 | 400 | 50 | 387 | Φ3.5 | 6.5 | 6.5 | 3 5 | 2以下 |
| 63 | 315 | 50 | 302 | Φ3.5 | 6.5 | 6.5 | 3 5 | 2以下 |
| 63 | 200 | 50 | 187 | Φ3.5 | 6.5 | 6.5 | 3 5 | 2以下 |
| 40 | 250 | 33 | 237 | Φ3.5 | 3.5 | 6.5 | 3 5 | 2以下 |
| 40 | 200 | 33 | 187 | Φ3.5 | 3.5 | 6.5 | 3 5 | 2以下 |
| 31.5 | 100 | 24.5 | 94 | Φ2.7 | 3.5 | 3 | 1 1.5 2 | 2以下 |
似たような名前にJISってあるけど、なに?
JISとは、日本産業規格(英語:Japanese Industrial Standards)のことで、産業標準化の促進、または国際標準化の促進を目的に制定された日本の法律「産業標準化法(JIS法)」に基づいて作られた規格で、国に定められた機関(認定標準作成機関)の申し出や、経済産業省に設置される審議会(日本産業標準調査会)の答申を受けて大臣(経済産業大臣・厚生労働大臣・国土交通大臣・農林水産大臣など)が制定する日本の国家標準の規格をいいます。
JEMとどう違うの?
JIS規格は法律に裏付けられた日本の国家標準規格なのに対し、JEM規格とは、一般社団法人日本電気工業会(JEMA)が定めており、国ではなく関係するメーカーが集まり、保有する実証データをもとに規格が決められています。そもそもJEM規格は、JIS規格の上に成り立っているということですね。
双方の基本的な考え方に大きな違いはありませんが、安全性に関する規定が異なったり、規格の範囲が異なったりと、JIS規格はどちらかと言えば必要最低限のものであるのに対し、JEM規格では安全性や信頼性に厳しい基準が設けられており、制御盤を設計・製作するメーカーは基本的にはJIS規格かJEM規格、どちらかの規格に準拠して基本設計を進めるようになっています。

